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ふるさとは貧民窟なりき

「ふるさとは貧民窟なりき」

ふるさとは貧民窟なりき

著者の小板橋二郎氏が、

氏の育った東京都板橋の貧民窟・岩の坂の様子を、

思い出を添えて描いたこの本を、


アタシが読んだのは、この間、某高校の文化祭に気まぐれで行った際に

何の気なしに、古本市で偶然買ったからで、


ほんのちょっとした何気ないきっかけだったんだけど、

アタシは強い衝撃を受けた。


激しく自分を反省して、ツラカッタ・・・・。

人によると思うけれど、アタシはアタシの欠点を見つけると

猛烈につらい。

他人の欠点を見るより、よっぽど落ち込む。



時代は、戦前戦後。

木賃宿、長屋の住人たち、その貧しさ故の残酷さ、

たとえば、

近所の初恋の人が、貧しさゆえに体を売るようになる話、

浮浪児の少年が物乞いする話など、

切なくて苦しい。

そこを生き抜いていく著者。

まだ小学生中学生なのに、生きていくために知恵を働かせ、

時には、かっぱらいや喧嘩、詐欺まがいなことなどをする。

そして、中学校を卒業後は、職を転々としながらも定時制高校へ通い、

ジャーナリストへの道を切り開いていく。

その生命力、力強さには感服する。

 (かっぱらいや喧嘩を肯定しているわけではありません。一応言っておきますが)



アタシは自分をふりかえって強烈に反省した。

ただ、運命を恨み、もんもんとして前進しなかった若い頃の自分を思った。


悲しむことで精いっぱいで、次の一歩を考えられなかった

そして、

家の事情を恨みながら、だから、努力するという事を否定していた。

普通の子供である自分が、

なぜ家の事情のため、人より努力しなければならないのか、

そんなん、間違っていると、思った。


事情を認知して行動する力強さ、自分には無かったなあ。

そして、もちろん、自分にないんだから、自分の子供たちにも伝えられていない。


映画「マルサの女」で、主人公の国税局査察官を演じる宮本信子さんが、

山崎努さん演じる実業家の所得隠しを追求して

「あなたの子供には、お金ではなく、あなたのその力強さを残してあげなさい」

と言うシーンがある。印象的なシーンで今でも覚えているが、アタシの場合は、

お金はもちろん、力強さもなにも残してあげられず・・・




そして、

著者が大きく成長していくのは、その生命力に加え、

出会う人々の個性を、偏見を加えずに大きな器で見ることも

あってのことと感じた。


著者は、彼の母の新しい彼氏である石職人のオヤジさんの

職人気質な強さも、そのまま受け入れ、尊敬し、親しむ。

母親のオトコだっっていう色眼鏡で見ない。


その後に出会う、様々な一癖も二癖もある人たちの

強さも弱さもそのまま受け入れて、

あいつの言うことだから、話半分、なんてことはなく、

本や映画、喧嘩の話などされれば、素直にすっと飲みこむ。

麻薬中毒の隣人の映画評論を聞く。

麻薬中毒であるという、隣人の性質をすっかり抜いて、

映画についての解説だけを、純粋に優れているかどうかと評価する。


アタシは、アタシの母親の彼氏に対するアタシの非礼を思った。

 (母親は当時独身でした。一応言っておきますが)


たいていは、最低の野郎ばっかりだったが、時には良いおじさんもいた。

ほとんどが嫌な奴だったからって、全員が嫌な奴と思い込んで、

アタシは、良いおじさんにも、つっけんどんにしか接しなかった。


今思えば、どうしてもっと、腹を割って話をしなかったのかと思う。

何か得るものがあったかもしれないと思う。

あの優しいおじさん、今どうしてるかなあ。


アタシは、母の彼氏だっていう肩書で人を見ていたんだね~嫌な女だった。

そのアタシの偏見は、

アタシを母子家庭の娘だと蔑んだ周りの偏見と同じではなかったか?


母を嫌いだからって、その彼氏にまで冷たいなんて・・・

職場のゴマスリ野郎が、上司の社敵に、

ゴマすりのために冷たく接するのと同じじゃ・・・

大いに反省・・・・。


若い自分が出来なかったこと、

今更どうしようもないけれど、この本と偶然出会って、

自分を思い知り、反省して、変わるきっかけになれるだろうか。

どうにかなるか??

ここから何かを考え行動しないから、アタシなんだろうか???


だって、ずっと苦しみ戸惑って、時折は感情的になっていた、

自分を守っていると思い込んだその負の感情が、実は

前進への妨げだと、気づくのは、良いことなのか悪いことなのか、

決定できることはない気もするのだ。


反省してんのか、こらっ。


というふうに、ぐ~るぐるぐる考えさせられる本だった。

高校の古本市、なかなかやるわねっ。

誉めてあげるわっ。




偶然の出会いに感謝する。







↓ 読んでくださった方、本当にありがとうございます。
   応援していただければ、うれしいです・・・


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ジャンル : 小説・文学
テーマ : 読書感想

[ 2014/09/24 14:29 ] | TB(0) | CM(8)
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[ 2014/09/24 22:24 ] [ 編集 ]
鍵コメに感謝!

 鍵コメさん

 コメントありがとうございます。

 はまってたの?大丈夫?もう抜け出た?
 いいよ、臭くたって。大丈夫。
 臭いときがあるから、輝くとき、すっごく輝くんだ!
 臭くなったことのない人の輝きは、臭くなったことのある人の輝きに
 かなわない(←自論)
[ 2014/09/24 22:32 ] [ 編集 ]
こんばんは!
レインボウさん、こんばんは。
早速ですが、遊びに来させていただきました!
実のところ、2、3日前からこちらを覗かせていただいてました(御存知かとは思います)。

特に、レインボウさんの「ただ、運命を恨み、もんもんとして前進しなかった若い頃の自分を思った。」という表現には、何か自分を投影させていました。
私の場合、レインボウさんに比べると、男子のくだらない悩みかもしれませんが。笑

私だったら、レインボウさんほど、反省できるか自信ありません・・・。
でも、過去を思い起こさせてくれる何かとの偶然な出会いは素敵なことだし、レインボウさんみたいに大事にしていきたいなって思いました。

今後も遊びに来させていただきます。
よろしくお願いします^^
リンク貼らせていただきたいのですがよろしいですか???

レインボウさんとの「出会い」に感謝を込めて。
ちょい若おやじ
[ 2014/09/25 23:03 ] [ 編集 ]
Re: こんばんは!

ちょい若おやじさん

 コメントありがとうございます。

 「きたあかり」を丁寧に読んでいただき、ありがとうございます。
 誰かに何かを感じてもらえれば、こんなにうれしいことはありません。
 こちらこそよろしくお願いいたします。

 映画の記事は、そんなには無く、日常の出来事メインの「きたあかり」ですが、
 映画、大好きです。リンクのお話はありがたいです。お願いいたします。
 たいへん光栄に思います。

[ 2014/09/25 23:22 ] [ 編集 ]
お早いお返事ありがとうございます。
レインボウさんの「日常」を楽しみに、そして思考しながら拝読させていただきます!
こちらこそよろしくお願いします。
[ 2014/09/25 23:28 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし

ちょい若おやじさん

 コメントありがとうございます。

 これを機会に、映画記事を増やそうかと、うきうきしています。
 ありがとうございます。

 
[ 2014/09/25 23:37 ] [ 編集 ]
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[ 2014/09/25 23:52 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし

 鍵コメさん

 コメントありがとうございます。

 言葉・・・語彙量があんまりなもんで・・・どうでしょう・・・
 でも、映画記事は今後増やそうかと思いました。
 やってみます。ありがとうございます。
 日常のこともアップしてますが、よければ読んでくださいね。

 
[ 2014/09/26 21:22 ] [ 編集 ]
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