キズ大根と 松平定知著 「アナウンサーの日本語論」
2019年11月18日
東根市の よってけポポラ さんで、キズ大根が売られてました。ほかの、綺麗な大根は130円くらいなのに、キズありだからか 50円という超特価で。
まるで、アタシみたい。数か月前の手術で体の悪いところ切り取ったから、ちょうどこんなキズがあります。そ~か、キズがあると安値なのか。なんだか、自分のことのように悔しい。買いましたが。

さて、最近読んだ本。松平定知著「アナウンサーの日本語論」。

これは、アナウンサーなどで、長く、話す仕事をしてこられた著者が、
独自の視点から「伝わるように伝える」技術、つまりは、喋りの技術を解説された本です。
文章ではなく、お話して相手にわかってもらうには、共感を得るにはどうしたらいいか、などが書かれています。
中に、私の朗読術 として、著者の朗読への思いが述べられています。ご存じの方も多いと思いますが、著者は長い間、ラジオで藤沢周平作品などを朗読されていました。
松平定知さんは、睡眠時間もとれないほどの激務のさなか、藤沢周平作品と出会い、「これは一生懸命生きている人への応援歌だ。人々の心を和ませる」と感銘をうけ、夢中になります。何年もNHKに訴えて、やっとラジオで朗読できることになるのでした。
宮部みゆきさんの藤沢作品評が紹介されていました。少し長いけど、とっても良いので全文載せます。
「ごく普通の人間がごく普通に生きていても、たとえば世間様に顔向けできないことや、もう自分でも思い出したくないことの一つや二つはあるものだ。他人は、そんなことは忘れなさい、忘れるところから新しい人生を送るべき、などと言うが、そんな簡単なものではない。それこそがやっぱり人間の傷なのだし、そこまで引きずっている自分にとって重いものを、大げさに見せはしないけど、捨て去ろうとするのではなく、それをいったん自分が引き受けて、生身の人間として、その傷といっしょに生きていくと覚悟をきめる、そのことを書いていくことが大切なんだ、その覚悟をもって一生懸命生きていき、結果として得られるその人の小さな幸せや小さな理解は、全力でつかまえて逃してはいけない、それでいいのだ。
ということを、藤沢文学は教えてくれている」
「アナウンサーの日本語論」、伝えることについてだけではなく、人の生き方についても、考えさせられる良い本でした。
傷を引き受ける覚悟と、一生懸命生きること、小さな幸せや理解をつかまえること、全て、アタシにはとても難しいけれど、いつかできることを信じて、キズ大根でも煮ますかね。

松平さん、食べに来て~☆
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コメント
そうですね。
私もごく普通の人間(と思っている)で、普通に生き(ていると思っている)ていても、世間様に顔向けできないことや、自分でも思い出したくないことの一つや二つはありますね。
(いや、一つや二つどころか山ほど@@ありますね。)
そっか、そう言う風に考えれば、少しは荷が軽くなりますかね。
ちょうど今日、過去のある出来事を思い出してクヨクヨしてたところ。
思い出したくないけど、脛の傷はやはり時々思い出すべきものだ
とも思ってみたり。だって、振り返ることで同じ轍は踏まないゾ
とも思えますものね。
> 一生懸命生きていき、結果として得られるその人の小さな幸せや小さな理解は
> 全力でつかまえて逃してはいけない
ってところ、いいなぁと思いました。賛成。
きたあかり様
こんばんは。
2000年〜2009年までNHKで「その時歴史が動いた」という番組をやっていました。
その時司会をされていたのが松平定知さんでした。
落ち着いた語り口での解説がなんとも心地良かったのを覚えています。
ウィキペディアで見たら伊予松山藩久松松平家の分家旗本の子孫で家康とも遠く血が繋がっている人なのですね。
最近お顔を見ませんが何をなさっているのでしょうか。
仙台に大根を食べに行っているという話も聞きませんし。
愛新覚羅
恥ずかしながら藤沢周平の作品を一つも読んだことがありませんでした。宮部みゆきさんの藤沢作品評からそそられましたので、蝉しぐれあたりを読んでみようと思います。
年取ったね
松平さんの写真、年取ったな~と
思ってしまったが、自分も白髪頭だし
そりゃあそうだわね。
大根、50円なら私も買います!!
安くていいわ~
大根の傷で安値になっても、あかりちゃんの傷は安値になんかなりませんよ(^^)
円熟してきっと高値ですよ(*^^*)
>その傷といっしょに生きていくと覚悟をきめる。なかなか覚悟が出来ない。その時は覚悟したとしてもやっぱり後からうじうじ考えてしまう。なかなか難しい事ですね。生きていくって・・・。
Re: タイトルなし
chococake55さん へ
chococake55さんもですか!アタシも、思い出したくないことが、やまほどあります。でも、引き受けてなんとかやっていくしかないんですね。思い出したくないことがたくさんあることを、否定しないでやさしく見守る宮部みゆきさんの文章に、気持ちがやわらぎました。 ('ω')
Re: タイトルなし
さとちん へ
うんうん。クヨクヨしちゃうことあるよ。アタシも。思い出したくないことほど、思い出しちゃう。
宮部みゆきさんの文章、いいですよね~。この本は、ほとんどが、著者の思い出や、喋りの技術についてなんだけれど、アタシはそこが、一番心に残りました。いや、喋りの技術についても、ちゃんと読みましたよ~!あ、それに、著者がどんだけの情熱で仕事をしていたかも!
Re: タイトルなし
aishinkakuraさん へ
「その時歴史が動いた」についての思い出も載っていました。それぞれの回を担当するディレクターが、一人一本100日かけて作っているのを、松平さんが最後の最後にしゃべることを考えます。で、出来上がった原稿は、あえて暗記しないんだそうです。内容を完全に把握、肉体化するんだそうで。そして、あ~、だの、う~だの、つっかえながら喋る。かえって、視聴者に伝わるんだそうです。平田オリザさんによると、冗長率(意味伝達と関係ない言葉が含まれている割合)が多いほど伝わるんだって。
家康と遠く血がつながった(なんとなく雰囲気似ているきがする)(ずんぐりむっくり堂々としたところが)松平さん、最近は何をなさっているのでしょうか?暇なら仙台に来て、大根食べながら朗読教えてほしいです。
Re: タイトルなし
怪しい隣人さん へ
そんなこと言っていただくと、うれしくて、この寒い東北の片隅にひっそりと生きる(体は大きいけれど)アタシ、あったかい気持ちになります。ありがとうございます。アタシも「蝉しぐれ」を読もうと思っていました。この本でも紹介されています。風景が浮かんでくるような描写、なんだそうです。リズムが最高、なんだそうです。
カイジも読みたいし、忙しくなりそう☆
Re: 年取ったね
わんわんママさん へ
松平さん、よい感じに年をとられて、いいですね~。アタシも、そうありたいけれど、なかなか・・・。鏡を見るとがっかりする今日この頃・・・笑
大根50円は安いですよね!!!キズがあっても美味しかったですよ!
Re: タイトルなし
がちゃぴんさん へ
がちゃぴんさんは優しいですね~☆ありがとうございます。
そう、ラ・フランスも、腐りかけ十分に熟したのが美味しいですもんね。
一人なのに、5個も買ってしまって、毎日、ラ・フランスを食べているアタシです(*^-^*)
Re: タイトルなし
nohohonさん へ
どうしても、そうなりますよね。どんより気持ちが沈み、どうしようもないときもあります。なんとか、だましだまし、やっていくしかないのでしょうか。 生きていると、思うようにならないことの方が多いなあと思います。感情の浮き沈みで、広くモノが見えなくなるときも多々あり、のアタシ・・・。
と、覚悟っていう言葉を、偶然、最近また聞いたので、今から記事にしようかと思います。