「御宿かわせみ」「半七捕物帳」
2020年07月03日
カリスマ料理研究家、みんなのアイドル 栗原はるみさんは、その著書「もう一度ごちそうさまがききたくて」
で、主婦がつくる日々の料理を「連続ドラマだ」と書いてらっしゃいました。
主婦にとって、料理は一回作れば終わりってもんじゃなくって、朝ごはんのあとは昼。そして夜と、次の食事つくりがありますもんね。なるほど~と思ったものですが、最近のアタシの読書もそんな傾向でして、
以前、記事にした「みをつくし料理帖」あたりから、ず~っと連続で、江戸の市井ものとでもいうのかしら?そんなんを読み続けています。
たとえば、平岩弓枝の「恩宿かわせみ」。

人気のシリーズで、図書館の順番待ちが待ちきれず、購入したのですが(ただし古本屋で)、これは、人それぞれの好き好きだと思いますが、アタシにはちょっと、大人すぎてついていけなかったなあ。
メインキャストである 南町奉行所与力を勤める家柄の次男 神林東吾 と、彼の恋人である 宿かわせみの女主人 るい の、色っぽい恋が、許せないの。身分違いを悩む るい なのだけれど、ずるずる関係を続けてる。東吾は、一緒になろうと思っているんだけれども、るい が、はっきりしないのよねぇ。まるで、ぬめぬめした二匹の蛇がからみあって、こんがらがって、ほどけなくなって、知恵の輪のぬるぬる版みたいになってる気がする。捕物帳としては面白いんだけどなあ。二人の関係のところを読むのが苦痛で、シリーズものなのに、一冊しか読んでいないのでした。
大人の恋がわからない、お子ちゃまなアタシね。 ← 個人の意見です。
そこで、次は「半七捕物帳」へジャンプ。

歌舞伎の作者だった岡本綺堂が、1917年に発表した「お文の魂」が、大人気シリーズの始まりだそうで、ずいぶん昔だなあ。捕物帳の原点にして最高傑作と言われているそうでございます。
事件現場の、ちょっとした状況から、犯人を推理し、聞き込み、追い詰めていく半七、威勢よくってかっこいいよ。ただ、状況証拠のみってパターンが多い気がするわよ。捕物帳に本格推理小説の「読者への挑戦状」的なものを求めてはだめですね。
江戸の町の雰囲気、人情や非情を味わうのが良いんでしょうなあ。たぶん。
「半七捕物帳」の「槍突き」って作品の、襲われる描写がカッコよかったので、打ってみます。お時間がある方はお読みください。
提灯はたちまち叩き落された。こっちは内々覚悟していたので、すぐその手首を捕えようとすると、両手はしびれるほどに強く打たれて、数珠の緒は切れて飛んでしまった。さすがの七兵衛もはっと立ちひるむひまに、女の姿は早くも闇の奥にかくれて、彼の眼のとどくところにはもう迷っていなかった。
「あれが化け猫か」
追ってもとても追いつきそうもないのと、また執念ぶかく追い回す必要もないのとで、七兵衛は先ず足もとに叩き落された提灯を拾おうとして、身をかがめながらくらい地面を探っている時、どこから現れたのか、一つの黒い影がつかつかと走って来て、声もかけないで彼のかがんでいる左の脇腹を突こうとした。その足音に早くも気のついた七兵衛は、小膝をついて危うく身をかわしたので、槍の穂先はがちりと土を縫った。その柄をつかんで起き上がろうとすると、相手はすぐに槍をぬいて、稲妻のような速さで二の槍をついて来た。これも危うく飛びこえて、七兵衛はようようまっすぐに起き上がると、槍はつづいて彼の腹か股のあたりへ突き下ろしてきたが、どれも幸いに空を流れて彼の身には立たなかった。
か、かっこいい。 (*゚Q゚*)
もう、文章に惚れるわよ。
しかし、今のアタシは、池波正太郎の「鬼平犯科帳」が気になって気になって仕方ないので、次は鬼平よ。浮気なアタシ。読書の、この勝手気ままな自由さがたまらないのサ。ああ、楽しみ。「銭形平次」や「人形佐七」にも手を出して、またゆっくり、半七を読むのもいいかなあ。夢は広がるわ~。
気分は、お江戸長屋の町娘~。 ← 自分の中だけでそう思っているわけですので、広い心でお許しください。
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コメント
きたあかり様
こんばんは。
こういう江戸の捕物シリーズは亡き父親が大好きでした。
オジサン好みではないのかと思います。
きたあかり様のような若い(私よりは)女性で読んでいる人がいるとは。
人の趣味は色々ですね。(笑)
愛新覚羅
「御宿かわせみ」の赤字部分の感想で、あれ?そんなだったかなと、ふっと昔テレビドラマで何度か見たことがあるのを思い出してちょっと調べてきましたので2度目の訪問になります(笑)テレビではるいは高島礼子、東吾は中村橋之助でした。そして長い間の忍ぶ恋がついに結ばれ・・・とありました。「澪つくし料理帳」しか知りませんがどれも面白そうですね^^
あれが化け猫か、
前後の抜粋してある部分、すごい疾走感ですね。
一文が長いのに、というか、その句点のない文書が一気に読ませますね。
自分なぞはビジネス文書しか書きませんが、一文一文を短くすることこそが美点と思ってました。
そんな人気作品を図書館で借りるなんて・・・何か月待ち(笑)
気が遠くなっちゃいそうな日待たされそうだよ~(笑)
おじさんのリストには、平岩弓枝はない。やっぱりドロドロしたのは好みではなかったか?
あれ?半七捕り物帳も、鬼平犯科帳もないぞ?食い物が出て来ないからか?
独り暮らしが長くなって、どうも料理に手抜きばかりするようになった。あんまりおいしくない。
ところでスムージーのコメ返しがありませんが?
最近は読書時間がほとんどありません。時間を有効に使わないと(笑)。
平岩弓枝は読んだことないです。池波正太郎は真田太平記を読んだことがあります。鬼平犯科帳の時代劇は好きでよく見てました。最近は特に勧善懲悪な話でないと面白くないです。
Re: タイトルなし
aishinkakuraさん へ
朗読仲間と読書の話になり、Sちゃんが村上春樹について語るもんで、アタシが半七捕物帳とか御宿かわせみとか言ったら、「レアなもの読むね~」と言われました・・・!そ~かな~!
半七捕物帳は、宮部みゆきさんが大好きだそうですよ~!
と、今は、「国盗り物語」をもう一度読もうかと、ネットで注文しようと思ってます。
周りに、だ~れも、いません。読んでるの。笑
Re: タイトルなし
nohohonさん へ
御宿かわせみ、ドラマになったのは知ってましたが、そうですか。るいは高島礼子、東吾は中村橋之助ですか!ぴったりですね~。わざわざ調べてくださり、ありがとうございます。ドラマは、どう演出していたのでしょうか?大人の恋、でしょうか?でも、最後には結ばれるのですね。良かったです(*^-^*)
Re: タイトルなし
つばめとそらさん へ
残忍なというか、スリルな場面なのですが、カッコいいですよね~。一文、確かに長いですね。ハラハラ感が出ている気がします。ビジネス文書は、一文一文を短くするのですね。その方がわかりやすく、頭に入りやすいのでしょうか。お仕事、お疲れ様です。ビジネス文書って、大変そうです。想像ですが。
Re: タイトルなし
銭右衛門さん へ
人気の本となると、何百人も待ちです。何か月先、いや、何年先になるのやら。本当に待たされます。でも、いつかは読めるということで。待ちま~す☆
Re: タイトルなし
ひねくれくうみんさん へ
お江戸なものを読むようになったのは、ひねくれくうみんさんのブログ記事がきっかけでした。本当にありがとうございます。おじさん、半七捕物帳も鬼平犯科帳も無かったのですね。やはり、食べ物が出ていないと読む気になれなかったのか!
>ところでスムージーのコメ返しがありませんが?
ごめんなさ~い。今、お返事さしあげました。大変失礼いたしました~
許して~。
これに懲りないで、末永くお付き合いをお願いいたしますぅ。ごめんなさい。
Re: タイトルなし
怪しい隣人さん へ
読書時間がとれない、忙しい時ってありますよね。アタシも時々遠ざかって、また、思い出したように読んだりしています。
>最近は特に勧善懲悪な話でないと面白くないです。
え~。そうなんですか!勧善懲悪な話は、スッキリしますが、勧善懲悪すぎるとちょっと、アタシはあれかなあ???