江國香織 著 「神様のボート」: 本: きたあかり日記
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江國香織 著 「神様のボート」

2020年08月07日

アタシだって、捕物帳ばかり読んでいるわけではないのです。江國香織だって読むのです。

神様のボート


ネタバレています。よろしくお願いいたします。


葉子は、幼い娘の草子とともに、二人きりで暮らしています。
二人は、一つの土地に長くとどまらず、すぐに、引っ越しをします。一年?数か月?葉子は、「わたしたちは旅がらす」と草子に言います。
葉子は、昼間はピアノの先生をして、夜はお酒を出す店で接客の仕事をして、生計を立ててるのですが、すぐに辞めてしまい、引っ越しを繰り返します。草子は、小学校を何度も転校することになります。
貧しい暮らしを、文面から察することができます。オンボロのアパート。あめ色にまで変色した畳。

親子は、どうしてそんな暮らしをしているんでしょうか?

読み進めるうちに、葉子には昔、だいぶ年上の夫がいたこと、しかし、草子のパパは、その、葉子の夫ではないこと。葉子とパパは、骨ごと溶けるような恋をしたこと。でも、パパは、何らかの理由で失踪したこと、などが、読者に、もったいぶった謎解きのように、少しずつ、説明されていきます。

葉子は、愛しい彼を想像し、彼の夢を見、彼のことを草子と繰り返し話します。そして、草子のパパが、自分たちを必ず探し当ててくれることを信じています。また、草子パパがいない土地になじんでしまうことを恐れています。

引っ越しを繰り返す二人でしたが、草子が成長し、自分の意思を持つようになると、葉子の思いだけで生きることが難しくなってきます。成長し、中学生になった草子は葉子に「ママは現実に生きていない。アタシは現実に生きたい」と言います。草子は離れていきます。

葉子は、彼との恋に、支配されています。幼い子供、愛する子供の今の生活に生きているのではなく、彼との恋、もう、過去になってしまった恋に、生きているのです。


で、ラスト。
解釈はいろいろだと思いますが、アタシは、葉子の妄想だと思います。切ないラストでした。


葉子の、吸うたばこ、食べるチョコレート、散歩する砂浜、身に着けるフレアースカート、口ずさむロッドスチュワート。物語を彩る、江國香織ならではの描写が美しく、悲しく、空々しく、アタシが夢中になって読んだこの物語。

あとがきで、作者は
「小さな、しずかな物語ですが、これは狂気の物語です。そして、いままでに私の書いたもののうち、いちばん危険な小説だと思っています」
と書いています。





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コメント

タイトルと表紙絵と内容との繋がりが気になります。
「神様のボート」ですか~。う~ん   

>草子は葉子に「ママは現実に生きていない。アタシは現実に生きたい」

進むべき目的が無く波間に漂うボートのイメージでしょうか?
心は永遠に漂い続ける?難しい内容ですね~。

私も7年前に読んでブログ記事にしたことがあります。
内容をほとんど忘れていたけど、
腑に落ちん話だったということだけは覚えていて・・・
ああ、そうか!あかりちゃんが言うように
「彼」というのは葉子の妄想だったのか?!
それなら全てが腑に落ちます。ガッテン!ガッテン!ガッテン!
やっぱり江國香織って苦手〜〜〜。

ロッドの歌って、“The First Cut Is The Deepest”ですかね・・・?

江國香織って、年齢が近いから・・・。

いや、それだけの疑問です。
申し訳ありません、江國香織を読んだことない、と思う(-_-;)

きたあかり様
こんばんは。

何やら葉子というのは面倒くさい女のようですね。
私は絶対に読まないでしょうが最後の方に出てくる
ロッド・スチュアートに目を奪われました。

愛新覚羅

ノンフィクションだけではなかったのですね

 江國香織さまと言えばノンフィクション作家だと思っていましたが、そうでもなかったのですね。
 なんだか面白そう。読んでみよう。

コメントの編集

Re: タイトルなし


nohohonさん へ

 神様のボートに乗って、帰ってくるはずの男を待つってことなのかどうなのか、本文中にも、明確な説明は無かった気がします。難しい内容というわけではない小説ですが、なんとでも解釈できる要素が多く、モヤモヤっとしています。綺麗だけど、怪しい小説でした・・・((+_+))

Re: タイトルなし


 さとちん へ

 おお、さとちんも記事にされたことがあったのですね。7年も前?今から読ませていただきま~す。
 腑に落ちんというか、なんとでも解釈できる小説と思います。彼は、葉子の妄想なのか、違うのか、読者に回答がゆだねられているというか。

>やっぱり江國香織って苦手〜〜〜。

アタシも、作品によってはついていけない時があります。「赤いながぐつ」というのを同時進行で読んだのですが、ついていけませんでした。人それぞれですね。苦手な作家っています。アタシは、伊坂幸太郎が苦手。仙台に住んでる人なのに~笑

Re: タイトルなし


バニーマンさん へ

 小説の中では、曲名までは出ていなかった気がします。たぶん。「The First Cut Is The Deepest」、今、YouTubeで、聞いてみましたが、この小説の雰囲気ととても合っていますね☆

 江國香織は、女性読者が多い気がします。男性はあまり読まないかな。偏見?

Re: タイトルなし


 aishinkakuraさん へ

 女性というのは、面倒くさい人が多いでしょう。ぜひ、面倒くささを楽しんでください。なんつって。
 ロッド・スチュアートもですが、情景等描写に心惹かれる要素を持ってくるのが、江國香織は上手だなあって思います。

Re: ノンフィクションだけではなかったのですね


 ひねくれくうみんさん へ

 お、江國香織はノンフィクションも書いていたのかな?アタシが知らないだけ?今、図書館に「きらきらひかる」を予約中なんだけど、読後、探してみよう。

>なんだか面白そう。読んでみよう。 

そう言っていただけると嬉しいです。家にいる時間が多いと思われる社会情勢ですんで、ぜひ!

こんにちは!
神様のボート、昔読みました。
江國香織、好きです。最近はあまり読んでいませんが。
もう一回読んでみようかと思いました。

あと、コーヒーがたっぷり入ったマグカップを割ってしまって 大変な思いをしたのですね😢
私は以前 自宅にて朝から お気に入りの皿にカレーライスを盛ってあったものを朝から落として割ってしまったことがありました。

その時に友人が言ってくれたこと。
「商売をしている人は朝から食器が割れると厄除けになるって言っていたよ。きっといいことがあるよ。」

その人はしょげている私を元気づけようと言ってくれたのかもしれませんが、なんだか救われました。

きたあかりさんにも、いいことがありますように🍀

Re: タイトルなし


 ウーロンパンダさん へ

 江國香織、アタシも、以前はよく読んでいたのですが、最近はさっぱりだったのです。久々に読んでみました。
 
 「朝から食器が割れると厄除け」は、はじめて聞きました!そうなんですね~。救われますね。
 良いことがきっとありますね。(*^-^*)
 楽しみに待ちたいと思います。ありがとう

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