映画「英雄の証明」 (2021年のイラン映画)
2022年04月22日
映画「英雄の証明」見てきました。アスガル・ファルハーディー監督の作品です。
2021年カンヌ映画祭でグランプリを獲得しました。
アスガル・ファルハーディー監督は、映画「セールスマン」で2016年アカデミー賞外国語作品賞を受賞した方のようです。
イランが舞台です。

借金を返せなかった罪で投獄されているラヒム。
休暇で刑務所を出て恋人に会った際(イランには囚人に休暇が有り、娑婆に出られるらしい。びっくり!)、恋人がバス停でたまたま17枚の金貨を拾ったことを知る。
金貨を現金化し、借金を返済しようとするラヒムだったが、換金しても借金額には全然足りず、貸主からは「そんな足りない金額は受け取れね~な!」と言われてしまう。
恋人と相談した末、落とし主を探して返すことに決め、張り紙すると(イランでは警察に落とし物を届けるっていう制度はないのかな?びっくり!)、落とし主と名乗る女性が現れる。
借金がありながら、ネコババせずに正直に落とし主へ返したことがメディアで取り上げられると、彼は賞賛され、一躍有名人となるが、すぐに、この話は作り話との噂がSNSで広まっってしまう。彼は一転して詐欺師のような扱いを受けてしまう……。
↑ こんなお話で、非常に考えさせられました。
ストーリーでは分かりづらいけれども(アタシの文章力?)、
マスコミの無責任な英雄づくりと、SNSの怖さを批判するだけの内容ではないのです。
解釈は人それぞれで、なんともとれる作りなんだけれども、 以下ネタバレ大。
アタシが思ったのは、
人生、偶然の出来事、たまたま恋人が金貨を拾ったこととかそういう偶然のことに、いちいち翻弄されてしまうけれど、本質、自らの性格や信条、やってきたことは変わらない、ってこと。
ラヒムは、高利貸しから大きな借金をして返せなくなり、保証人となった元妻の父親に、甚大な迷惑をかけているのです。その父親は、少額のお金を返してもらうより、ラヒムに思い知らせてやりたいのです。その罪は、偶然金貨を手に入れたからチャラになるわけじゃあない。
ラヒムだって、本当は真面目に働いて返したい。でもそれがどうしても出来ない不運。社会情勢。
それがベースにあって、マスコミにちやほやされても、そこを忘れてはいけなかったわけよ。
でも人間、周りに流されてしまうよね。わかる、わかるんだけど、、、!
今までちやほやされたことなかったのが、急に英雄扱いされたら舞い上がっちゃうよね。切ないわ~。
と、イランという遠い国の映画だったのだけれど、気持ちはしっかりつかまれました。
イランの町の雑然とした風景、子供たちの行儀の悪さ、女性の服装、家の中の台所やリビングの感じ、食事の支度が何作っているかよくわからない、などなどもとても興味深く、良い映画でした。

女性はこんな服装をしていますが、下に着ている服が見えるような、けっこう雑な着方をしてました。
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コメント
きたあかり様
こんばんは。
イラン映画とはまた珍しいですね。
よく知らない国は映画を通して内情が
わかりますので勉強になりますね。
北朝鮮の映画を観てみたいです。
どうせ共産党の検査が入るのでしょうが。
愛新覚羅
こんばんは。
結構評判の良い作品ですね。
イラン、、というより中東イスラム圏はよくわからないので、映画で少しでも興味を持つのはいいことですよね。
観ていて“!”や“?”が自分の頭の中で飛び交うのも楽しい経験です(笑)
日本人以上に正直な国民か?
日本人は、世界で一番正直者が多いと思っていましたが、囚人に休暇があるとか、落し物は貼り紙で知らせるとか、イラン人はものすご~く正直な国民なんですね。
日本で囚人を刑務所から出したら絶対に帰ってこないだろうし、貼り紙なんかしたら、私のですとウソをついて受け取ろうとする人間は、一人や二人ではなさそう。
イランを見直しました。
Re: タイトルなし
aishinkakuraさん へ
おっしゃるとおり、
映画でもテレビドラマでも、お国柄が少しだけでも覗けるの、楽しいことです。
>北朝鮮の映画を観てみたいです。
どうせ共産党の検査が入るのでしょうが。
内容が想像できるし、アタシ観たくありません・・・
韓国ドラマの「愛の不時着」は観たいですが。笑
Re: タイトルなし
バニーマンさん へ
イランの人々の生活、全く想像も出来なかったので
少しでも覗けたような気がして良かったです。
ちなみにDVDで「セールスマン」も観ました。
どちらの映画も、想像していたより女性が「強く主張する」のに驚きました。
もっと虐げられているのかと思った・・・・!
Re: 日本人以上に正直な国民か?
ひねくれくうみんさん へ
アタシも、囚人に休暇があるのには驚きました。ちゃんと期日には刑務所に戻るって!なんと律儀な!
し、
>貼り紙なんかしたら、私のですとウソをついて受け取ろうとする人間は、一人や二人ではなさそう。
くうみんさん、鋭い!
彼は疑いもなく名乗り出た人に渡してしまったのですが、どうも、ウソをつかれていたようなのですよ。
だよなあ。
ネタバレでした。