自転車泥棒: 映画: きたあかり日記
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自転車泥棒

2014年10月13日

1948年に公開されたイタリア映画で、

ネットで調べたら、ネオレアリズモ(新写実主義)の秀作だそうである。


ちょい若おやじさんがコメントで教えてくださったので、

この映画を知った。


教えていただかなかったら、知ることはなかっただろう映画である。

ありがたい。


アタシは映画には詳しくない。

でも、そんなアタシの「きたあかり」の映画評にも、きちんと対応してくださる彼!

ありがとうございます。


映画は、いろんなジャンルがある。

レンタルDVD屋さんに行くと、ドラマ、とか、アクション、とか、コメディ、とかSFとか

ジャンル分けしてある。

映画が好きな人は、いろんなジャンルを観ると思う。

だから、心を広く持てるのだろうか。

恋愛メロドラマも、カーアクションも、わはははおバカ、も、宇宙大作戦も、カモ~ン?

ついでに、きたあかりも、カモ~ン?



とにかく、ありがとう。感謝しています。





ということで「自転車泥棒」である。



自転車泥棒



「きたあかり」では、今までは、あまり、ストーリーを語らないことにしてたけれど、

これは、良いことにする。


なぜなら、書きたいから(←自分勝手)。






 で ↓ ストーリーとかいろいろ


 
  敗戦後のイタリア、自転車を使えることを条件に、やっと、

  市役所のポスター貼りの仕事にありつけた主人公の男だが、

  自分の自転車は質に入れてある。

  ヤケになる男に、妻が、シーツを質に入れることを思いつき、

  シーツを質に入れ、自転車を質から出し、

  やっとのことで仕事に付けるが、

  ポスター貼りの作業中、大事な自転車を盗まれてしまう。

  警察に訴えても真剣にとりあってもらえず、

  友人に相談し、一緒に探してもみつからず、

  翌日、自分の息子と一緒に探すが・・・・

  うまくいかず、とうとう、他人の自転車を盗んでしまう。




ネットで見ると、「貧しさの中の家族愛」と評しているのが、とても多い。

でも、どうしても、アタシにはそうは思えなかった。


親子の関係って、その親子それぞれだとは思うし、

時代も場所も違うから、文化というか、風習が違うのかもしれないけれど、

素直なアタシの感想は、、


単純な家族愛物語にはどうしても見えない


。。。である。



もう、冒頭から、このダメなお父さん ぶりには、目をつけていた。



仕事あっせん所から自宅前へ帰ったシーン、

水の入った重いバケツを両手に一つずつ、合計二つ、持つ妻に、

彼は最初気が付かず、坂みたいのを妻がそろそろって降りるところでやっと気が付き、

バケツを一つ持ってあげる。


アタシとしては、両方持ってあげるべきだと思うのである。


あれは、人生の重荷を、夫と妻で協力して持っているという

映画的暗示なのかと考えてもみるが、

妻は、子供を産んだばかりではないのか?

例外を除いて、一般的に男の方が力があるのではないか?


アタシは、男が一方的に女へ対して「幸せ」を与えるべきだ、という考えではない。

ただ、力のある男は、力の無いであろう女を手助けしてよいのではないかと

思うのである。



そして、彼は、

やっと仕事にありつけそうなのに、肝心の自転車が無いことを妻に愚痴る。

男は嘆くだけ。

案を考えて行動し、シーツを質に入れるのは妻である。



自転車探しに行くのも、なぜか、自分の幼い息子を連れて行く。

3年生くらいだろうか。

アタシが親なら、連れて行かない。

首尾よく自転車をみつけられたら良いだろうが、みつけられなかったら、

息子がどんなに落胆するか、心配するか!


もっと大きく成長した子供ならいいが、あの幼さでは、酷である。

そして、捜索には案の定手間取り、雨のシーン、雨宿り中には

お父さんは、まず最初に自分の顔をハンカチで拭き、子供が転んだ

ことにも気が付かないのである。


親は、幼い子供がどう行動しているか、常に見守ってあげるべきではないか?

豪雨の中、子供が転んだら、自分の顔より先に子供の心配をすべきである。

子供は、大人よりもずっと、体が小さく、しかも空腹であるようだし、

大人として、自分より弱い子どもに配慮をするのは、当然だ、とアタシは思う。


やがて、慈悲のスープをもらうかもらわないかで、子供といさかいになる。

そして、親は子供をぶつ。


なぜかと問う子供にお父さんが答えるのは「お前が悪い


これでは、子供は、自己否定してしまう。

何て自分勝手な親だ。

悪いのは誰だ?


不注意で自転車を盗まれてしまった

お前だろうが!




いさかいの後、子供は、ふらりとどこかへ行ってしまうが、

ちょうどその時、「子供が溺れている!」との騒ぎがお父さんの耳に入ってくる。

もしや、息子かと、心配するお父さんだけれど、実際は違った。

お父さんは安心し、みつかった自分の子供をレストランの食事に誘う。


子供は、他のテーブルの金持ち子供の豪華な食事が気になって仕方がない。

でも、お父さんは言う。


あれは月に100万の収入が無いとダメだ。ああ、自転車があれば、

このくらい貰えたはずだ。


なんと、彼はここで子供に、もらえたはずの給料の計算をさせるのである。


更には、自転車を見つけなければ、食えなくなる、とまで、息子に言う。




子供は、どう思うだろう。

どんなに心配するだろう。

そして、そんな事を子供に言って、どうしたいのか?どう答えさせたいのか?

子供は、どうしようもないではないか?

どうにかしろとでも言いたいのか?


頼りたいのはお前じゃない、子供の方だ。




この映画は、

貧乏が原因で、

本当は良識があったはずの大人が、精神を破壊されてしまい、

子供っぽい行動しかとれなくなっていく中で、

子供は、そんな大人に耐えながら、ついていくしかなくて、

大人のような精神力を要求される、ああ、切ない、

というテーマなのだろうか?



親と子は、手をつないで雑踏の中を歩いていき、見えなくなるってのが

ラストシーンだ。


不幸な親子が、後年どうなっていくか、観客にはわからないのである。


悲しくなる映画だった。


とりあえず、心に誓う。



自転車を離れる時は、ちゃんと鍵をかけよう。





↓ 読んでくださった方、本当にありがとうございます。
   応援していただければ、うれしいです・・・



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コメント

レインボウさん、まずは、記事内で感謝までしてもらえてありがとうございます。
本当、こちらこそ、ですよ^^
「ついでに、きたあかりも~♪」
いいですね!
そのスタンスでうちのブログも扱ってください。笑

さて、「自転車泥棒」ですが、レインボウさんと共感するところがあります。
私も紹介しておきながら、イタリア映画だったり、映画の手法だったり、詳しい方ではありません。
ただ、この映画を観る上で1つ見落とせないのは、この戦後イタリアという時代である、ということだと思います。

それこそ、イタリアの戦後に詳しいわけではありませんが、本編でレインボウさんが感じずにはいられない「ダメ親父」また「そうならざるを得ない」状態というのは、「戦争に敗けるということ」の1つの側面を描いているような気がするからです。

だから、私も単なる「家族愛を描いた作品」には違和感を感じます。
映画はあくまで虚構ですが、ヴィットーリオ・デ・シーカがネオリアリズムの巨匠だと言われる所以なのではないかと思います。

私も初めて見た時、最後に2人がとぼとぼ消えていく姿には悲しい気持ちになりましたし、終始暗くもなりました。

そして、自転車には必ず鍵を2つかけていたのですが、それでも私は盗まれてしまい、自転車に乗るのをやめました…泣

でも、本当に、子供が子供らしく振る舞えない状況には胸が痛くなります。
貧困のスパイラル、と言うかなんというか。
自転車を盗んだと思われる青年の母親の姿も深いシーンだと思います。

私はこの映画を観るまでジブリ的な美しいイメージしかなかったので、それだけでも当時は新発見でした。

レインボウさんほど、父親がダメなシーンを列挙(赤太字チェック)したことなかったので、再び見るときはこの要素も見るポイントにしてみたいと思います。

ありがとうございます。

コメントの編集

Re: タイトルなし


ちょい若おやじさん

 コメントありがとうございます。

> いいですね!
> そのスタンスでうちのブログも扱ってください。笑

 今後とも、どうぞよろしくお願いします(^_^)v

 若のおっしゃるとおり、戦争に負けること、ダメおやじになってしまう男、
 貧困スパイラル、
 考えさせられます。

 自転車を盗んだと思われる男の母親の姿、何とも言えない・・厳しいです。

 若は鍵を二つもつけていたのに、自転車を盗まれたことがあるのですね!!
 それも、悲しい・・・

> レインボウさんほど、父親がダメなシーンを列挙(赤太字チェック)したことなかったので、再び見るときはこの要素も見るポイントにしてみたいと思います。
>

 自分が「親」だから、考えてしまったとうか、感じたんだと思います。

> ありがとうございます。

 こちらこそ!

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きたあかり

Author:きたあかり
ご訪問ありがとうございます。
夫が単身赴任中で、下の娘と二人暮らしのパート主婦です。暇なはずなのに、なぜか毎日忙しい。謎です。
日々の平凡な家事の事、読んだ本や観た映画のこと、趣味の朗読や絵本読み聞かせのこと、などを記事にしています。

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