映画「ある朝スウプは」
2015年06月22日
精神的な病をかかえてしまった男が宗教(映画内ではセミナーと表現)に傾倒し、同居する彼女と一緒に貯めた、なけなしの貯金を勝手に使って、
高額のソファーを購入するなどし、
彼女はそれを理解できず、猛烈に反対し、
二人の生活は破たんする。

男は理屈で宗教(映画内ではセミナーと表現)の素晴らしさを女に説明しようとするが、
女は「気持ち悪い」と感情論ですべてを否定する。
男は隠れて続け、女の財布から金を抜いてまでもセミナーに参加しようとし、、
それがバレれば逆切れし、
女は「ダメ」とか「止めて」とか男を縛ろうとする。
でも、二人は決定的にずれてるから、元には戻れない。男は去っていく。
とてもありがちな、それだけのストーリー。
それだけなんだけど、かな~り夢中になったよ。
この映画の生活感あふれるリアリティと、
そこから突きつけられる、まるで絵画を見ているようなかっこいい映像が
ぎくしゃくと混ざってて、とても綺麗で、どきどきしたから。
どこにでもあるような、古びた木造アパートに暮らすひと組のカップル。
朝は目玉焼きと味噌汁と漬物でごはん?
ずいぶん古いカラーボックス。
カーテンレールに掛けられた衣類。
そうだよ、どこにもあるんだけれど、映像の切り取り方が綺麗なの。
言い争う男の顔は全部見えるけれど、女のそれは半分だけだったり、
泣く女の顔に木漏れ日が差し、まだら模様に涙を想像したり、
男の下半身だけをうつす映像に、足を伝う失禁と畳だったり。
そうだ、映像だけじゃなくって、音も、想像力を撹拌させてくれる感じで、
ふくらむふくらむ。
緊迫した会話の途中に携帯電話の着信音。どこかを通るバイクの遠い音。鳴くカラス。
病状を説明する医師は声だけ。遠近法の暗い病院廊下に響いているだけで、、、。
この映画は、まるで、BGM付きの一枚の絵を見ているよう。
男と女、
それぞれの右脳と左脳、善と悪、現実と非現実、
みんなズレてるんだけど、音と映像とストーリーが交錯して、綺麗にひっかかりあってる。
ズレ、さあ、どうだと引き込まれ、圧倒的に突きつけられているよう。
絵のこともカメラのことも知らないアタシでも、ああ、ドキドキする。
揺さぶられる感じ。
監督高橋泉氏恐るべし。
どうか観てください。上記、この、わけわかんない文章の意味がわかるかも~。
↓ 読んでくださった方、本当にありがとうございます。


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