角田光代氏「対岸の彼女」
2015年07月01日
専業主婦の小夜子が一念発起して外で働き始める物語と、いじめを受けて転校した高校生葵がナナコという友人と交流する物語と、
章ごとに、交互に描かれるこの小説。
登場人物の心理が切なくて、読んでいてかなり
痛い。いじめに怯える描写とかね・・・
でも、痛いけれども、読者に対し、ラストで一気に光を浴びせてくれる。
人と人との付き合い方や、付き合いがあるからこその自分の個性の持ち方を
考えさせられもした。

夫との間に幼い娘がいる主婦小夜子は、人付き合いが苦手で、
ママ友と公園で親しくなることもできず、鬱々として日々を送っていた。
外で働くことで、自分を変えていくことができるのでは、人見知りの娘にも友達ができるのではと、
求人を探し、女社長、葵の会社の掃除業務メンバーとして働き始める。
いじめが原因で田舎の高校に転校した葵
(小夜子が働きはじめた会社社長の高校生時代)は、
どこのグループにも所属しないでいる、明るいナナコと親しくなり、
夏休みには一緒に、泊まり込みで民宿のアルバイトをするが、
アルバイト終了日、ナナコは帰りたくないと言い出し、二人は家には帰らず・・・。
最近アタシは記憶力の減退が激しく、
映画を観ながらも本を読みながらもテレビを見ながらも、
メモを取るようにしている。
この小説を読みながらも、これだと心に刺さった文章は、ノートに書き写した。
最初に書いた文章がコレ↓
「ひとりでいるのがこわくなるような大勢の友達ではなく、ひとりでもこわくないと
思わせてくれる何か」
飲み会の後、女社長葵と別れてタクシーに乗った小夜子が、葵を思って浮かんだ言葉。
まだ序盤の98ページにあるソレ。
誰の心にもありながら認識されるかされないかの瀬戸際のようなソレ。
偶然書き写したのだけれど、この小説の核となる部分のように思った。
小夜子は、公園でママ友と親しくなれない自分を気にし、
娘のことも、友達をすぐ作れない性格であることを嘆いている
そんな性格の女性なのだが、
葵と接することで、
ひとりでもこわくないと思わせてくれる何かを得たいと変わっていったのではないか。
一方、親友ナナコと不幸な別れをしてしまった葵は、
学生時代に旅をしたラオスで強盗に遭い、
その、人の好意を信じられない経験から、逆に
「信じる」ことを選びながら生きようと決意する。
「信じる」ことを選んで人生を開拓していった葵に、小夜子は出会っていたのだ。
「みんな違う。みんな違うってことに気づかないと、出会えない」
これも、ノートに書き写した文章だけど、どのへんだっけ?
と、わかんなくなりながらも、
一人でもこわくないと思わせてくれる何かとは、
自分の信念であり、個性であるということ、
そして、それを互いに信じる事、つまりは、
個性を分かり合えること、違いを気づくこと、尊重しあうことが
人と人の出会いなんだなと思った。
二人の女性が心の葛藤を経験し、乗り越えながら、
しかし、なおも違う個性ながらも、
出会っていくこの物語に、
アタシも、
自分でつくった殻を破り、実はやすやすと壊せる檻を抜け出し、、
自分を信じ、人を信じて
清々といきたいなと思った。
まずは、何をしようかなっと思ったら・・・
明日はバイトの面接でした~
応援してねん。お願いっ☆ようするにソレか・・・
↓ 読んでくださった方、本当にありがとうございます。


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コメント
ファイッオー!ファイッオー!
気張らずに、、
応援してます。
Re: タイトルなし
エルさん
応援ありがとうございます。
楽しんできますね☆
むか〜し単行本が出た頃、買って読んだのですが
記憶がものすごく薄らぼんやり〜★
小夜子より葵の友人関係の部分で
心が熱くなったように覚えているのですが・・・
Re: タイトルなし
さとちんさん
さとちんさんも読んでいたのですね~
アタシは、小夜子についても葵についても、その気持ちの描写に、泣きました。
さとちんさんの心を熱くした葵の気持ちって、
ナナコへの微妙な感情じゃあないかなあ。
二人でバイトに行った民宿から家に帰るってときに
「帰りたくない」ってナナコが泣いて、葵は「じゃあ帰らない」っていうでしょ。
泣けるわあ。