映画「息を殺して」
2015年09月24日
市内で開催の「短編映画祭」に行ってきました。若い監督の、新しい感覚の作品から
16mmフィルムの無声映画時代の作品、
そしてアニメまで、
次々と鑑賞して、とても幸せでした。
最初は、映画「息を殺して」。五十嵐耕平監督の作品です。

近未来、2017年の大晦日から新年にかけての深夜、
巨大な工場 を舞台に、そこで働く
残業中の若いね~ちゃんや夜勤のに~ちゃんなどのお話。
彼らと彼女は、犬が迷い込んできたのを探したり、新年の飾りつけをしたり、
サボってテレビでゲームしたりしてます。
それら登場人物たちは、不倫に苦しんでいたり、恋人の妊娠に戸惑っていたり、
離婚していたり、様々な人生の谷にいるのが、
観客にだんだんわかってくる仕掛けだれど、
「薄い」のね。
描かれ方が、淡々として、現実味がない。
彼も彼らも、べつに~って感じで、どうでもいいし~って感じで、情熱的じゃない。
時々挿入されるゲームのシーンを背景に、
アタシは、彼らのツライ人生がまるで、
彼らにとって、気ままにリセットできるゲームのように思えてきました。
全体的なトーン、今の言葉で言うと空気感ですか、
それが、虚無感に満ちていて、
巨大な工場の無機質な背景に、人物も、まるで無機質なんだもの。

舞台が近未来で、徴兵制度があるってのがまた、一本、体の傷が疼くように、
観る人を襲うのですよ。
徴兵制度だよ。何だか、作中でも知り合いが戦死したみたいなこと言ってるし。
ただ、淡々とね。
はいはい、そ~んだ~へ~、だって。
そんな現実にもまるでゲームのように軽く対峙する若者たちの、情熱の無さ、生命力の無さ。
この映画、そんなふうで、観ていていて、さみしいような、
逆に、安心するような、奇妙な味なんですよ。
人間の生命力が弱いのが、いいのか悪いのか、いいとか悪いとかじゃないのか。
わかんなくなりました。
舞台あいさつで、監督が、自分たちの将来を思ってつくったと言っていましたが、
それもまた不思議です。不思議が刺激的でした。
ああ、こういう世界観もあるんだなと、どきりとしました。
どうなんだろう。監督は、あの作品の中に、人間の情熱や生きる力を
表現しているんだろうか?
難解だけど、旧世代のアタシには、みつけられない。
誰かみつけて、教えて。
↓ 読んでくださった方、本当にありがとうございます。


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コメント
Imagine
2017年、日本に徴兵制があるかもしれない、これからそういう法整備がされるかもしれない、と想像してみるのもいいんじゃないかな。
Re: Imagine
ケフコタカハシさん
はい、怖いけれど、想像してみます。
この映画の設定、2017年ってのが微妙ですよね。2117年じゃないのよ。
東京オリンピックより前なのよ。ほんの少し先の将来なのよ。