「林真理子の名作読本」
2016年07月30日
「林真理子の名作読本」何度読んでも、そのたびに元気になれる本です。

読書好きの林真理子氏が、今まに読んで、特に感動した本の中から
「放浪記」「斜陽」「氷点」などなど、54冊を選び、
一冊一冊について解説、お勧めしてくれている本なのですが、
読んでいると、むくむく勇気とやる気が湧いてきます。
例えば、林芙美子「放浪記」 。
日本中が貧乏だった昭和初期の時代、
食べるものも住むところも頼れる人もないという、貧しい女が、
たくましく生きるさまを描いたこの有名な小説には、
その主人公を
「本物の自由と孤独、そしてそれをじんわりと味わう幸福を知っている女が
昔もちゃんといたのである」
と解説しています。
本物の自由と孤独を味わう、それが幸福なのか!
自由であっても孤独はつらい、でもそれを幸福を思える強さ、潔さ、
か、かっこい~!拝んでみたい。
宇野千代「おはん」 、、、この解説も良いのです、うんうん。
これは、気の弱い男が、子供までいる妻のおはんを捨て、芸者と暮らし、
そしておはんは身を引き、夫を責めることもしないで、そっと去って行く
という切ないお話です。
現代ではありえないと思われるストーリー、
林真理子氏は、その献身的な妻のやわらかい愛と、
たくましい自立の力を持ち、主張して男を奪う芸者を、
両方評価し、認め、美しいと言い、
「たくましく自立しようとする生き方を好む心と、やわらかく切ないものをよしとする感性は
相反するものではなく、両立しているものなのである」
としています。
女性の生き方を、ぐっと考えさせられます。
自分の中にある、おはんと芸者、二つの側面をクローズアップさせられます。
同時に自分が女性であるということを、逆に愛おしく、面白く思えます。
どっちにしろ、強い女でいたい。さあ、生きよう。
なんだか、女性作家のものばかり書いてしまったけれど、
男性作家の小説もたくさん解説されています。
「太陽の季節」とか「さぶ」とか。
すべて、自分の中の忘れていた感情を針でツンツン突っつかれたような
ちょっと痛い、でも、目が覚めてやる気が出る、
そんな気分になれる解説です。
「林真理子の名作読本」には、「林真理子の文章読本」として、
良い文章の書き方も併録されていますが、長くなっちゃったので、
それについては次回書きます。
↓ 最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
ランキングに参加しています。
よろしければワンクリックお願いします。


コメント
林真理子のその本も良さそうだけど
私はそれに出てくる本について書いたあかりちゃんの記事、
あかりちゃんの感想の方をもっと読みたいわ☆
> 同時に自分が女性であるということを、逆に愛おしく、面白く思えます。
> どっちにしろ、強い女でいたい。さあ、生きよう。
いいね、いいね。いざ、生きよう!
私は、林真理子はエッセイが好きです。
歯に衣着せぬかんじでズバズバ書いているのを読むと
昔からすっきりしたので心がやさぐれている時によく読みました(笑)
でも、最近のエッセイは良識的でおとなしくなった気がします。
美容室で手に取る雑誌の連載でしか読みませんが。
Re: タイトルなし
さとちん へ
さ、さとちん、ありがとう。
もっと読みたいと言ってくれて・・ううっ感謝の涙が・・
こんなん書いても、誰も興味を持たないだろうなあと
思いながら、でも書きたいし~と、開き直るような気持ちで
書いたのだよ。
さとちん、いい人ですね~。やさしいね~。うれしいよ~。
この御恩は忘れないわ!
林真理子氏のエッセィ、最近はおとなしいんだぁ。
知らなかった・・・
以前はよく読んでいたんだけど、最近はあんまりだなあ。
以前の印象だと、
書く雑誌によって、文章を変えているのが凄いと思ったなあ。
週刊文春に書いている内容とノンノに書いている内容が
同じ人とは思えないキャラ設定で・・。
また読んでみよう☆