映画「細雪」
2017年02月17日
映画「細雪」。1983年市川崑監督作品、観ました。
主な登場人物の四姉妹、とても美しい。特に佐久間良子の美しさは驚くほどでした。
困った顔、笑った顔、怒った顔、それぞれ美しい。しかも、ユーモラスなのです。
ところどころ、声に出して笑いました。
台所のテーブルに足をぶつけて、「痛、痛たたた」な~んてところ、うまい!
うますぎる!

大阪船場の大店(おおだな)に育った、四姉妹の物語りです。
昔は羽振りが良かったものの、今では商売は傾き、店を手放しています。
大店の旦那だったお父さんは他界し、
長女の鶴子(岸恵子)が婿の辰雄(伊丹十三)とともに、
跡を継いで(商売はしていないが名前だけ)本家となっています。
次女の幸子(佐久間良子)も、貞之助(石坂浩二)を婿に迎え、分家となっています。
三女の雪子(吉永小百合)は、いまだ独身。四女の妙子が駆け落ち騒動を起こしたのを
新聞社が勘違いして、雪子の名前で報道したこともあり、なかなか縁談がまとまりません。
それに、雪子は、頑固だけれども引っ込み思案で、縁談になかなか「うん」と言わないのです。
雪子の縁談をまとめようと、幸子や貞之助は奔走しています。
四女の妙子(古手川祐子)は、駆け落ち騒動を起こすなど、行動的な娘です。
駆け落ちのあと、隠れて駆け落ち相手とつきあいながら、
しかも写真家と仲良くなってみたり、その写真家を病気で亡くしてみたり、
そのあとすぐ、バーテンダーとつきあってみたり。
妙子の奔放な行動にも雪子たちは右往左往させられます。
雪子の縁談や妙子の恋愛、法事の段取りや、鶴子の夫の東京転勤、
華やかなお金持ちマダムたちと、お金持ちマダムの養子たちが
右往左往、コミカルに大騒ぎし、物語は進みます。お金持ちの内緒の内情。
四姉妹は、アレコレ困りながらも、それはそれは綺麗な着物を着ています。
豪奢な食事を食べながら、桜見物にうっとりしながら、絢爛豪華に、
ぼやいています。
そこには、お金持ちたちの、冷たさ、非情さが、ちゃ~んと入れられています。
彼女たちは、使用人を自分の感情で怒鳴ります。
なんの不手際もない使用人たちに、機嫌が悪いと怒鳴りつけます。
長女の鶴子など、使用人の弟が戦死した際、
その使用人は悲しみのどん底に泣いているというのに
雪子の縁談の華やかな話に触発されて、手持ちの着物を広げて飾ります。
ああ、きれい~。
使用人の弟の戦死なんて、興味ないし、関係ないのです。どうでもよいのです。
夫と「香典出さないわけにいかないわよねぇ」な~んて、相談しています。
使用人たちを、人とも思わない思いやりの無さ、その冷酷さが、
たまらない美しさとなって、物語を光らせているように感じました。
登場人物たちは、
お嬢様育ち、ボンボン育ちで、尊大なのです。世間知らずです。
美しい花しか見たことないし、知らない。雑草なんて興味がないし、考えたこともない。
曇りのない刃物が、妖しくキラキラ光ってる、とでもいうのですかね。
人の情、という浪花節的どんくささが無いんですね~。貴族なんですね。
人間味のない貴族は、とても綺麗です。
原作で表されている、この四姉妹の滅びの暗示、三女雪子の結婚の破たんの暗示、
映画にそれが無いのは、アタシはちょっと不満でしたが、
不満を吹き飛ばすほどの映画のつくりになっていたように思えます。
最初に、佐久間良子ばかり誉めてしまいましたが、
岸恵子の”存在感”も、吉永小百合の”目力”も、石坂浩二の”なよなよ養子”さも、
アタシを圧倒しました~。他は略。

後光がさしている気が・・・
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コメント
私も映画を観ましたが、着物が綺麗だったな〜の印象しか残っていません。
しかし、皆さん、お綺麗な方ばかりですね。
お嬢様育ち、ボンボン育ち、尊大、世間知らず・・・
今じゃそんなんじゃ生きていけないんじゃないかな〜と思うのですが、
そうでもない?
そういう世界の人達って私の身近にいないからな〜。
Re: タイトルなし
さとちん へ
はい。今じゃそんなんじゃ生きていけないと思います。
あの時代だったからこそ生息できたのでしょう。
でもその、身近にはいない遠い過去の人物像が
生き生きと描かれ生命感あふれ存在感バリバリで、良い映画でした~。
さとちんの言うとおり、着物、綺麗でした☆
でも、襟元ってあんな風に着付ける?
関西のあの辺ではそういうものなのかな~なんて、
不思議に思って見てました~。