映画「葛城事件」
2017年03月10日
映画「葛城事件」の感想です。 ネタばれてます。
家族の気持ちを全く顧みない、抑圧的で自分勝手なお父さん(三浦友和)に、
妻(南果歩)も子供たち(長男:新井浩文、次男:若葉竜也)も、心が病んでいきます。
気に入らなければ、家族を殴るお父さん。
この程度の、おかしなお父さんなら、別段、珍しくない、
昭和のお父さんは、こんな感じだったのでは?な~んて思いながら観ていましたが、
だんだんと、気が付きました。
このお父さん、まったく良いところがないのです。こんな人は、なかなか、いない。
愛嬌が無いっていうんでしょうか。
偉そうに威張り散らすだけ。
家族へ愛情をもって、かわいがるってことが全くないですし。
自分の信じる理想の家族像のとおりに家族が生きることしか許さないのです。
妻も、息子二人も、そんなお父さんといるのが苦しい。
お母さんは、不気味に狂っていきます。
孫が引きこもりの次男に殴られて、救急車呼ばなくちゃいけないほどの怪我をしても、
そこにいなかった嫁に連絡することができません。
発覚してから、ごめんなさいって言うだけ。
どうしていいか、わかんないのです。
行き当たりばったりのこと、たとえば「家出」はできます。
先を考えた行動が出来ないんです。壊れちゃってんですね。
長男は、お父さんの自慢の息子で、成績優秀。会社員をしていましたが、
突然リストラされたことを、妻に言えません。
お母さんと同じで、あまりにお父さんに支配されていたため、
自分の力で工夫して頑張ることができないし、
自分の困難を、家族に告げることが怖いのでしょう。
次男は、引きこもり。そんな自分を正当化しています。
いつか一発逆転してやるって言って、、、
無差別殺人事件を起こします。
地下鉄のホーム(かな?)でナイフを振り回し、たまたまそこにいた人たちを
次々と刺します。
一発逆転が、なぜ、人を殺すことなのか、
父親からの抑圧の発散の形、狂っています。
お父さんの異常さのせいで、家族みんな、苦しみ破たんしていく物語。

役者さんの怪演が光り、
こんな家族はマレだ、どこにでもいる家族じゃない、
お父さんの異常さもそうだけれど、その家族も、あんなふうに狂っていくのは
そう多い例じゃない、と確信しました。
アタシが言うんだから、間違いありません。
さて、この映画、食べるシーンが効果的に出てきます。
お母さんは、いつも、何かにとりつかれたかのように、
コンビニ弁当みたいのを食べています。
彼女に残っている生命の行動は、「食べる」、それしかないのでしょう。
恐ろしいです。
そして、ラストシーン。
お父さんが自殺に失敗して、ラーメン食べる のですが、これが素晴らしい。
絶望のラーメンすすり、なのですが、
三浦友和さんのラーメンの食べ方が、綺麗、超綺麗なのです。
ラーメンというのは、こうやって食べるものなのだぞい、という、
ラーメン食べ見本のような、芸術的すすり、です。
今まで三浦友和さんのことは、あんまり好きじゃなかったけれど、
あのラーメンシーンで大好きになって、
この後味の悪い映画の、救いになりました。
映画観終わった後、ラーメン食べちゃいました。
人に勧めるのはどうかと思う気分が悪くなる映画なのですが、
あのラーメンシーンだけは、友人知人親戚一同に観てほしいと思います。
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コメント
きたあかりさん、おはようです
こんな奇異な映画があるものなのですね
三浦友和さんのこのような演技が観てみたいものです
薫子、最近の三浦友和さん好きでしてね
いい年の取り方をされて、いい役者さんになられてなあと、、、三丁目の夕日の町医者の役どころとか大好きです
薫子は、基本映画はあまり観ない人なので映画館も遠いし、もっぱらTV
の再放送で観るくらいです(笑)
でも、今年は松潤の映画もあるので
これだけは映画館に足を運びたいです
で、この映画はとても面白そうで
地上波で放映されたら是非観てみたい映画です^^
キット私は見ないと思いますが あかりさんの紹介文章は素晴らしかったです。暴力的な父がいた私には、少し分かる気がしますが・・・。三浦友和さんは良い年の取り方をしていますね。
Re: タイトルなし
薫子さん へ
松潤の映画?
アタシも観てみよっかなあ☆
最近、映画館で映画、観てないのよね~☆
ちっちゃな映画館は近所にあるんだけれど、
おっきいとこは遠くって、なかなか行く気になれず、
もっぱら、ネット配信で映画観てるアタシです。
薫子さんは三浦友和さんがお好きなんですね。
アタシ、あんまし好きじゃなくってですね、
でも、この映画観たら好きになりました。
Re: タイトルなし
tugumi365さん へ
紹介文章を誉めてくださり、ありがとうございます。
なかなか、思うように書けないので、、
嬉しいです。
tugumi365さん、お父様に苦労されたのですね。
詳しくお話を聞いてみたい気がします。